『イザナギとイザナミ』ショートversion 

漢字・平仮名版

第１章

｢天地開闢(てんちかいびゃく)において神世七代(かみのよななよ)の最後に

伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は生まれた。

そして、高天原(たかあまのはら)の神々に命ぜられ

海に漂っていた国土を固める為に

天の浮き橋から天沼矛(あめのぬぼこ)で海をかき回し

出来上がった磤馭慮島(おのころじま)にて

邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は結婚した。

邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)は

日本国土を形づくる多数の子を産んだ。

その中には、淡路(あわじ)・伊予(いよ)・隠岐(おき)・筑紫(つくし)・壱岐(いき)・対馬(つしま)・佐渡(さど)・大倭豊秋津島(おおやまととよあきづしま)の大八洲(おおやしま)の島々

石・木・海・水・風・山・野・火など森羅万象(しんらばんしょう)の神々を生んだ｣

第２章

｢伊邪那美命(いざなみのみこと)は、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を産んだが為に亡くなった。

邪那岐命(いざなぎのみこと)は、火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を殺し

亡き伊邪那美命(いざなみのみこと)に逢う為に黄泉の国に向かったが

妻の伊邪那美命(いざなみのみこと)は、八雷神(やくさのいかづちのかみ)と融合していた。

その姿をみられた、伊邪那美命(いざなみのみこと)は怒り

逃げた邪那岐命(いざなぎのみこと)を八雷神(やくさのいかづちのかみ)と黄泉醜女(よもつしこめ)と共に追いかけた。

命からがら逃げきった、邪那岐命(いざなぎのみこと)は

黄泉の国と地上の境である黄泉比良坂(よもつひらさか)を大岩で塞ぎ

伊邪那美命(いざなみのみこと)と離縁した。｣

最終章

｢岩のむこうから伊邪那美命(いざなみのみこと)は『お前の国の人間を１日1000人殺してやる』と言うと

邪那岐命(いざなぎのみこと)は『それならば私は産屋(うぶや)を建て、１日に1500人を産ませよう』と言い返した。

その後、邪那岐命(いざなぎのみこと)は黄泉の国での穢れ(けがれ)を落とすために

筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘(たちばな)の小戸(おど)の阿波岐原(あはぎはら)で

禊(みそぎ)を行うと様々な神が生まれた。

左目を洗うと、天照大神(あまてらすおおみかみ)

右目を洗うと、月夜見尊月読命(つくよみのみこと)

鼻を洗うと、建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)

が生まれた。

邪那岐命(いざなぎのみこと)は、三柱(みはしら)の貴い(たっとい)子

三貴神(みはしらのうずのみこ)を得たと喜び

邪那岐命(いざなぎのみこと)は、天照大神(あまてらすおおみかみ)に高天原(たかあまのはら)を

月夜見尊月読命(つくよみのみこと)には、夜の食国(よのをすくに)を

建速須佐之男命(たけはやすさのをのみこと)には、海原を委任(いにん)した｣